神経とる・とらない
では、なぜ、虫歯が大きいとき神経を取らなければならないのでしょう。
それは、歯の中の神経(大雑把に神経といっていますが、神経だけがあるわけではなく、神経や血管やそれらをまとめるための結合組織というものたちの集合です)というのは、硬い歯の中に閉じ込められていて、他の神経血管と通じるところが歯の根の先端の針の穴よりも小さいところだけなのです。
だから、いったん何かの事情でばい菌に感染したり炎症を起こしたりすると、他からの応援が期待できず、自力でも治ることができず、一方的に悪くなっていくだけなので、取り除かざるを得ないのです。
これが例えば、手足の傷などなら、四方八方から新しく神経血管が伸びてきて修復作業をしてくれるので、ちょっと炎症があるからといって手足を取り除いたりはあまりしませんよね。
というわけで、虫歯が大きいとき、明らかに神経にまで穴があいてしまっていたら神経の処置(取ること)を選択するほかありません。
しかし、神経に通じてるかどうか微妙な状態では、神経を保護する薬をおいて、別の材料で埋め、ちゃんと神経が生き残ってくれるかどうか様子を見ることはよくあります。
取ってしまえば、元の状態には戻せませんから、少しでも神経を残せる可能性があるなら、神経を残したほうが歯の寿命も短くならないですしメリットがあります。
神経がきちんと機能していれば、虫歯で大きく削られて薄くなってしまった歯の部分に、神経のある側から二次的に歯のような硬い物質をつくりあげて、神経自ら保護層を形成することができるのです。
ですから、まだ若い人とかで、生命力も旺盛、この先も長く歯を残したいというような場合には、神経ぎりぎりまで虫歯を取って、多少の虫歯が残っていても良しとして(全部取りきると穴があいちゃうような場合です) 神経の活力アップの薬剤を置きセメントで埋めて経過をみていく方法もあります。
二次的に歯ができあがったら、きちんと削りなおして虫歯の部分を完全に取り去り詰め物をするわけです。
①のように深い虫歯を除去すると、②のような大きな穴があき限りなく神経に接近します。
そこで虫歯の穴の底にお薬を入れ埋め立てます。
数ヶ月すると、④のように神経の部分に新たな硬組織(橙色の部分)ができるので、きちんと削りなおし⑤のようにしっかり修復します。
もちろん、そういう方法をとっても、痛みがでてしまうこともあります。その時には、新たに神経を取る処置をすればいいわけです。
ただ、この場合には、患者さんとしては二回痛い思いをすることになりかねないので、先々痛くなることが確実なくらいの虫歯ならさっさと神経を取ったほうがいいと言う考え方もあります。
どちらを選ぶかは、その時の状況にもよるし、患者さんの希望にもよります。
たとえ痛みが出るかもしれなくても、残せる神経なら残したい、だめなら諦めて神経を取るというように考える患者さんもいれば、後になってまた麻酔をしたり痛い思いをするなら今取ってしまいたいという希望の患者さんもいます。
ですので、状況を説明してお互い納得のいく方法で治療を進めていきたいと思います。。